ルチルクォーツの中に走る、細く繊細な針状の結晶。その一本一本を眺めているうちに、私はそれが植物の枝や葉脈のように見えてきました。
今回制作したのは、そんなルチルクォーツの自然な景色を生かした、シルバーの天然石リングです。
ルチルクォーツから生まれたデザイン

このリングのデザインは、最初に石を見つめるところから始まりました。ルチルクォーツには、内部にルチル(金紅石)の針状結晶が入り込んでいます。光の角度によってその針が浮かび上がり、同じ石でも見る場所によって異なる表情を見せます。
その景色をできるだけ邪魔せず、石の中にある線がそのまま外へ続いていくような形にしたい。
そう考えながら、一本の流れをリングの造形として加えていきました。植物そのものを写実的に表現するのではなく、自然の中にある「伸びていく線」や「生命の流れ」を感じられるようなデザインを目指しています。
一本の線を、ジュエリーにする

デザインが決まった後は、ワックスで原型を制作しました。
ワックスを少しずつ削りながら、線の太さや曲線のバランスを調整。原型が完成したら鋳造によってシルバーへと変え、そこから表面を磨き、形を整えていきます。
最後にルチルクォーツを石留めして、リングが完成しました。

ワックス原型の段階ではまだ一つの「線」だったものが、金属になり、石が入り、指につけられるジュエリーへ変わっていく。その過程も、この作品をつくる上で大切にしている部分です。
一点ものだからこそ生まれる表情

天然石であるルチルクォーツは、一つひとつ針の入り方や透明感、色合いが異なります。同じデザインを制作しても、石によって完成したリングの印象は少しずつ変わります。
人工的に均一につくられたものではなく、自然が長い時間をかけて生み出した景色を、そのままジュエリーの中に取り入れる。
OAKNOKI JEWELRYでは、そうした天然石の個性を生かしながら、生命力や精神性を感じられるジュエリーを制作しています。
石の中にある一本の線と、リングに生まれた一本の線。
その二つがつながって見える瞬間に、このリングの美しさがあります。

